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2017.04.30 ドクターから一言 第22回「腎臓が悪いと脳・心臓にも合併症が?!」

慢性腎臓病という新しい言葉を御存知ですか。
これは新しく発見された腎臓病ではなく、腎炎、糖尿病、高血圧、腫瘍、結石などの原因から腎機能が低下した状態を表わし、具体的にはタン白尿の持続、血液検査上の腎障害の存在、計算上求められた腎ろ過量が60ml/分以下のいずれかがあると診断されます。
つまり比較的早期から腎障害を把握し積極的に治療することにより、将来透析になるのを防ぐことが一つの目的です。実際日本では年間15000人ずつ透析患者さんが増えており、なかでも糖尿病性腎症から腎不全→透析になる方が急増しており医療費を圧迫しています。
実は慢性腎臓病の怖いところはそれだけではなく、これがあると動脈硬化の進行が速いため、心筋梗塞、脳卒中が数倍多くなることです。
これには腎から分泌されるレニン・アンジオテンシン系といわれる、血管を収縮させ体から塩分水分が出るのを防ぎ、血圧を上げるホルモンが大きく関わっています。
このことから慢性腎臓病や糖尿病のある高血圧の方はより厳密な血圧コントロールが求められています。
お薬はこのレニン・アンジオテンシン系を抑える薬やカルシウム拮抗薬などが使われます。
ぜひ尿検査や腎臓の血液検査を受けましょう。
そして慢性腎臓病と診断されたらむしろ早期発見できて幸運と考え、適切な治療を受け脳卒中や心筋梗塞、透析などを防ごうではありませんか。